「なす」と「なすび」の違い、知っていますか?
実は種類が違う? それとも方言?
由来や語源についても気になりますよね。
はたしてどちらが先に成立したものなのでしょうか。
そこで「なす」と「なすび」の違いについてまとめてみました!
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「なす」と「なすび」は同じもの!
実は「なす」と「なすび」の違いはありません。
この呼び方の違いは西と東で分かれているだけで、同じ野菜のことをいいます。
「なす」は関東を中心に使われている呼び名で、
「なすび」は関西を中心に使われている呼び名です。
境界線は愛知や岐阜などの中部、東海地方が境目になります。
「なすび」の由来は「中身がすっぱい実」
「なすび」は元々、平安時代の貴族の間で食べられていた食べ物でした。
当時は「奈須比」と書き、野菜というよりは薬の一種として食べられてきました。
体調が良くない時に食べて病気を予防しようという予防薬というような食べられ方をしてきたそうです。
その味なのですが、当時はものすごい酸っぱかったそうです。
なので、「中身が すっぱい 実」ということで「なかすみ(中酸実)」になり、
さらに変形して「なすみ」になり、発音しやすいようになまって「なすび」になり、
そこに漢字が当てられて「奈須比」というようになりました。
音に合わせて字をあてただけなので、「奈須比」という漢字自体に何か意味があるわけではありません。
今でいう「夜露死苦」みたいなものですね。(これもちょっと古いですが……)
他にも「夏に穫れる実」なので「なつみ」がなまって「なすび」という説などもあります。
「なす」の由来は江戸にあり!
「なす」という名前が成立したのは、江戸時代にさかのぼります。
ところで、「一富士二鷹三茄子」ということわざがありますが、
富士山や鷹はなんとなくわかりますが、どうしてナス? と思ったことありますよね。
なぜナスなのかというと、実は「なす」の由来に関係しています。
ナスは京都や関西でしか生産されていないもので、
関東にある江戸ではあまり馴染みのない野菜でした。
そこで商人が「ナスを縁起のいい野菜として売り出そう!」と思い至り、
「(物事を)成す」ことから「なす」と名付けました。
「ナスを食べると物事が成功するよ! 縁起のいい野菜だよ!」と売り出したので、
ナスにめでたいイメージがついたことから、「一富士二鷹三茄子」という言葉ができたわけです。
「茄子」という字は当て字でつけられました。
「茄」は元々「はす」と読む漢字でした。
ちょうど「なす」という発音と似ていたので、「なす」に「茄」と字が当てられたのですが、
「漢字1文字で2音って収まりが悪い」という理由で語尾に「子」がつけられ
「茄子」という漢字になったのだそうです。
中国語、英語ではナスはどう呼ぶ?
同じ漢字圏である中国ではナスをどう書くのか気になりますよね。
簡体字や繁体字の字体の違いはありますが、日本と同じで「茄子」で、読みは「チェズ」といいます。
日本では写真を撮る時に「はい、チーズ」と言ってシャッターを切りますが、
中国では「チーズ」ではなく「チェズ(茄子)」と言ってシャッターを切るそうですよ。
英語では「エッグプラント」と言います。
「Eggplant」と書くように、由来はそのまま「卵+植物」です。
実はナスが長細いのは日本だけで、海外では丸い卵のような形をしています。
熟す前の皮は真っ白なので、より卵っぽいわけです。
まとめ:なすとなすびの違いは…
- 「なすび」が先で、「なす」が後付け
- 「中身がすっぱい実」の略がなまって「なすび」
- 江戸で「縁起のいい野菜」として売り出そうとしたので「物事を成す=なす」という呼び名がついた
- 一富士二鷹三茄子の由来は「ナスは縁起のいい食べ物」というイメージがついたため
- 同じ漢字圏である中国語でも「茄子」と書く
- 英語では「卵+植物」でEggplant