ポイント
この記事は病院に10年以上勤務経験がある方が執筆しています。
鏡を見たら、なんだか頬がいつもより腫れているような気がする…そんな経験はありませんか?
原因は何なのか、どこを受診したらいいのか、症状別に考えてみましょう。
このページの目次一覧
考えらる症状・原因・行くべき科
① 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の原因・症状
ムンプスウイルスが咳や唾液を介して、集団の中で容易にうつってしまいます。
子供の場合、学校で一人でもおたふく風邪になると、どんどん増えていきますね。
患者の多くが子供ですが、大人になって発症することもあります。まれに難聴や不妊の合併症を引き起こすこともあるので予防接種や感染予防が必要です。
潜伏期間は2~3週間といわれ、耳の下にある耳下腺がウイルスによって炎症を起こして頬が腫れ、発熱します。
耳下腺は唾液を作る組織なので、食事に影響がでます。
特に酸っぱいものを食べた時に耳の下の痛みが強くなります。
一週間ほど症状が続き徐々に落ち着きます。発症後5日は感染力が強く、学校では出席停止となります。
流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の疑いがある時は何科を受診すべきか
耳鼻科が専門ですが、内科でも大丈夫です。
かかりつけの診療所でも診てもらえます。治療は対症療法になるので、痛み止めや解熱剤が処方されます。
ゆっくり休んで、食べやすいものを食べ、水分をしっかりとって治しましょう。
② 耳下腺腫瘍
耳下腺腫瘍の原因・症状
原因は不明ですが、中年以降の喫煙者はこの病気のリスクが高くなるといわれています。
主な症状は、耳の下や耳の前の腫れ、しこりです。良性腫瘍であれば痛みはないことが多く、痛みがあるとすれば悪性腫瘍が疑われます。
耳下腺腫瘍の疑いがある時は何科を受診すべきか
耳鼻科が専門です。超音波検査(エコー)、MRI、CTなどの画像検査や、針で刺して細胞を吸引する検査などで、良性か悪性かを診ます。
良性でも悪性でも治療は手術が主です。腫瘍によって神経が圧迫されるなどの合併症も起きるので、いずれにせよ早期発見早期治療が大事です。
③ 根尖性歯周炎
根尖性歯周炎の原因・症状
虫歯を放置して進行し、歯髄(歯の根っこ)まで細菌感染すると歯周組織が炎症を起こします。また歯を強くぶつけてしまった場合も歯の根っこが強く圧迫されて炎症の原因になります。
初期症状は、歯の浮くような感覚、かんだ時の痛みです。進行するとズキンズキンと昼夜問わず痛みます。また熱いもので痛みが増し、冷たいもので痛みが和らぎます。
さらに進行すると頬が腫れ、発熱することもあります。
根尖性歯周炎の疑いがある時は何科を受診すべきか
歯科・口腔外科が専門です。上記の状態以上に進行すると、痛みがやわらぎますが、病状は深刻になっていきます。
骨まで炎症がおよぶと大掛かりな手術が必要になってしまいます。自然治癒は望めませんので、早期に受診してください。
④ 歯周病
歯周病の原因・症状
歯磨きがうまくできていない、歯垢、歯石、歯ぎしり、喫煙、歯列など原因になるものは多くあります。
最初にできる解決策は、歯磨きをしっかりすることです。
歯茎が赤くなり、腫れ、口臭が強くなり、進行すると頬まで腫れて、最終的には骨まで炎症が進み、歯を失うまでになります。
歯周病の疑いがある時は何科を受診すべきか
歯科・口腔外科が専門です。治療は、歯周ポケットの清掃、歯石除去や歯磨き指導などです。歯を失ったり手術が必要になる前に受診しましょう。
⑤ 「腫れ」と区別がつきにくい「むくみ」
上記4つのようにあきらかな「腫れ」が症状になるものではなく、腫れに似た「むくみ」が症状としてでてくる病気もあります。
- 甲状腺機能低下症
- 心不全
- 肝不全
- 腎不全
などさまざまですが、精密な検査が必要です。
むくみの疑いがある時は何科を受診すべきか
総合内科、総合診療科とうたわれているところがいいでしょう。
何となく気になるけど大きな病院に行くほどではない、という方はかかりつけや近くの診療所で診てもらってください。
深刻な病気かどうかの判断はしてもらえますし、紹介状も書いてもらえるでしょう。
まとめ
頬の腫れ。簡単にまとめると…
- 流行性耳下腺炎(おたふく風邪)→耳鼻科・内科
- 耳下腺腫瘍→耳鼻科
- 根尖性歯周炎→歯科・口腔外科
- 歯周病→歯科・口腔外科
- 「腫れ」に似た「むくみ」を症状とする病気の可能性もあり→総合内科・総合診療科
早く治療すれば大事に至らないということを忘れず、気になったら早めに病院にいって診てもらいましょう!
ライター:あいろまん
10年以上関東の中堅病院で看護の仕事に従事する。
現在はデイサービスで看護しつつ、介護の仕事にも首を突っ込む毎日。
趣味は韓国ドラマ。ハングル検定5級。ただいま4級目指して勉強中。