ポイント
この記事は病院に10年以上勤務経験がある方が執筆しています。
左わき腹の痛みを感じた時、病院に行ったほうがいいかな、と思いますよね。
でも何科に行けばいいのかわからないから、病院へ行くのをためらってしまう…
そんな方のために、具体的な症状と考えられる原因、受診すべき科を、看護師の経験からお伝えします。
このページの目次一覧
左わき腹の痛みの原因・症状・行くべき科
① 肋骨(あばら骨)骨折
助骨(あばら骨)の骨折の原因・症状
強くぶつけたとか、転んで左わき腹を打ったなどの覚えがあるとしたら、骨折の可能性があります。
肋骨周辺があきらかに紫色になっていたり腫れている場合は骨折の可能性が高いでしょう。
肋骨は案外折れやすく、若い人でも咳やくしゃみが原因で骨折してしまうこともあるのです。
かぜをひいてひどい咳が長引いてその後左わき腹が痛い、呼吸するとわき腹が痛いなどという人は骨折を疑ってもいいでしょう。
肋骨の骨折の疑いがある時は何科を受診すべきか
もし骨折の可能性が高そうなら、整形外科を受診します。
肋骨骨折は軽度であれば痛みがそれほど強くないこともあり、気づかなかったけど実は折れていた、ということもあります。
しかし骨折の度合いがひどい場合、内臓を傷つけてしまうこともあり、命にかかわるので必ず受診しましょう。
② 虫垂炎(盲腸)
虫垂炎(盲腸)の原因・症状
原因は、小腸とつながっている虫垂という部位が炎症を起こすことによるものです。
一般的には右わき腹の痛みというイメージですが、そうとは限りません。
虫垂炎初期の場合、左わき腹が痛み出したり、みぞおちやお腹全体が痛んだりします。
その後徐々に右の下腹部に痛みが下りてくるようなら虫垂炎の可能性があります。
吐き気や発熱(微熱)をともなうことが多いです。
虫垂炎(盲腸)の疑いがある時は何科を受診すべきか
大きな病院であれば消化器科がおすすめですが、内科でもみてもらえます。
昔は「盲腸=手術」のイメージでしたが、最近は内服薬での治療が主に行われます。
あまりにも症状がひどい場合は手術で摘出しますが、軽度であれば内服薬でおさまるので昔ほど大きな病気という感覚はなくなりました。
手術をする際には外科にうつることになります。
ただ放っておくと命に関わることになりますのでしっかり治療しましょう。
③ 尿管結石
尿路結石の原因・症状
水分をあまりとらず脱水状態が続くことで発症しやすくなるとは言われますが、体質や遺伝的なものも関係します。
食の欧米化で肉を食べすぎているとか、飲んでいる薬などが関わっているという説もあります。
最近はカルシウム不足も原因のひとつと言われています。
尿管結石の場合、左とは限りませんが、左側の尿管に石がひっかかっている場合は左わき腹が痛むことがあります。
左わき腹とともに背中や腰に強烈な痛みがあれば尿管結石の可能性が高いです。
この痛みは相当なもので、まわりから見ると「大げさな…」と思うくらい転げまわってしまうほどのものです。
一度経験すると、二度目には「この痛みは間違いなく尿管結石だ」とあきらかにわかるそうです。
血尿が見られることもあります。
あまりの痛みに救急車を呼んでしまう方も多いようですが、尿管結石自体は命に別状のない病気です。
尿路結石の疑いがある時は何科を受診すべきか
泌尿器科が専門です。
治療法は症状の度合いや石の大きさによって違います。
痛み止めを飲みながら水分を多くとって自然に排出されるのを待つ、レーザーを体の外から石を破壊する、体の中に管を入れて石を破壊する、などさまざまです。
④ 胃腸の病気
◦原因・症状
原因は、食べ過ぎ、お酒の飲みすぎ、便秘などさまざまです。
左わき腹の上のほうが痛むのであれば、胃や膵臓の不調かもしれません。
下の方なら腸です。
便秘でもひどくなるとかなりの痛みを感じます。
痛みにともに吐き気があれば胃腸の病気が考えられます。
膵臓の炎症だとすれば重い病気の可能性もあるので甘くみてはいけません。
◦何科を受診すべきか
消化器科がおすすめですが、内科でもみてもらえます。
小さな診療所でも胃カメラができるところもあるので、かかりつけ医や近所の診療所に相談してみるのもいいでしょう。
⑤ 婦人科の病気
◦原因・症状
卵巣や卵管の炎症がある場合にもわき腹が痛みます。子宮外妊娠ならかなり強い痛みにおそわれます。
原因はよくわかっていません。ストレスが原因になるのでは?とも言われています。
こちらも左だけとは限りませんが、左側の卵巣や卵管が炎症を起こせば左の下腹部の痛みが出ます。
◦何科を受診すべきか
婦人科や産婦人科が専門です。
症状がでているのであれば早めに治療を始めることが大事です。若い女性であれば今後の人生にも影響がでてくるデリケートな病気なので早めに受診して治したいですね。
まとめ
左わき腹の痛み。簡単にまとめてみると…
- 肋骨骨折→整形外科へ
- 虫垂炎(盲腸)→内科もしくは消化器科へ
- 尿管結石→泌尿器科へ
- 胃腸の病気→内科もしくは消化器科へ
- 婦人科の病気→婦人科産婦人科へ
「このくらいの痛みならそのうち良くなるかな…」と放置しておくと、大きな病気に気づくのが遅くなってしまいます。なんでもないだろうと思っても、なんでもないことを確かめに行く、くらいの気持ちで病院に行ってみてはどうでしょうか。
ライター:あいろまん
10年以上関東の中堅病院で看護の仕事に従事する。
現在はデイサービスで看護しつつ、介護の仕事にも首を突っ込む毎日。
趣味は韓国ドラマ。ハングル検定5級。ただいま4級目指して勉強中。